今回は、楽譜の参考音源メディアとしての YouTubeをご紹介します。(「知っとるわい」というツッコミが多方面から…… 笑) そして関連した近況報告もお知らせします。
この記事を書いた人:山崎 代三 (輸入楽譜専門店アムレス 店長)
楽譜の参考音源とは
昔むかし1970年代ごろ、ビッグバンドや吹奏楽向けのバンド楽譜の販売促進をするにあたり、プロ・ミュージシャンや音楽大学の楽団による参考演奏を収めた レコード盤 を米国の楽譜出版社(Jenson社、Kendor社など)が配布したのが始まりです。
その後、出版社が配布する参考音源のメディアは、カセットテープ や CD となり、ダウンロード形式ディジタルメディア を経て、現在は ストリーミング形式ディジタルメディア そして YouTube に落ち着いてきました。
(アムレスでも数年前まで デモCD をたくさん配布してきました。)
なぜ 出版社の参考音源が YouTube に落ち着いてきたのか
YouTube は元々は動画を投稿し共有するサービスでした。
既存の音楽を含む動画については、著作権法的にはブラックまたはグレー状態が続いてきましたが、各国の法整備と YouTube 側が適法化のシステムを導入したことなどにより、各国の法律的にもほぼ問題の無いサービスとなってきました。
イメージ的には、ダーク・グレーからライト・グレーに変わってきた感じです(^^)。
また、インターネットの回線品質の向上に伴い、音質画質ともに音楽動画を楽しむには十分なものとなりました。
それに加えて、音源と同期させて、画面には スコア(フルスコア)めくり を表示することにより、YouTube は、購入検討者が楽譜の内容を知るためにはベストに近い状態のメディアとなりました。
現在、多くの出版社が、スコアめくり動画つきの状態で参考音源を YouTube に公開しています。
なぜ アムレスが YouTube を選択したか
かつてはアムレスでも多くのビッグバンドCDを販売し、関連商品として 譜面タイトルやCDタイトルをそれぞれのカタログに掲載していました。
そして、世の中の音楽メディアの主体がCDからインターネット経由のデジタル音源に移り変わった時期から、販売停止となるCDの代わりにお客さまに提供できる 情報 を模索していました。
譜面の参考音源として情報を提供しようにも、デジタル音源を扱うプラットフォームの多さに辟易し、何年も参考音源の情報を提供できずにいました。
ですが、数年前から YouTube の優位性が際立ってきました。
具体的には下記のポイントが、アムレスが、参考音源情報として YouTube を選択 した理由です。
- お客さまとの情報共有が容易である
- 法律上の懸念が解消された(著作権法的に問題が無くなってきている)
- 多くの出版社の参考音源動画が公開されている
- アマチュアを始めとして数多くの演奏動画が公開されている
- 検索機能が向上している
- 無料ですぐに利用できる
ちなみに私の個人的には、YouTube の著作権法的なホワイト化が遅かったことにあまり良い印象を持っていません。
『YouTubeで探す』リンク掲載開始
アムレス・オンラインショップでは、ビッグバンド譜面とボーカルビッグバンド譜面に限って、商品説明文の最後に 『YouTubeで探す』 リンクの掲載を開始しました。
9月中にすべてのビッグバンド譜面とボーカルビッグバンド譜面への掲載が完了する予定です。
このリンクを利用すると、YouTube の検索ボックスに曲名やアレンジャー名を入力する手間が省けます。
譜面によっては適切な検索結果が得られない場合がありますが、多くの譜面では、参考になる音源や演奏の動画が見つけられるはずです。
ぜひご利用ください。
更新情報
- 2022年9月9日:メールニュース配信
- 2022年9月23日:ブログ記事公開