変や!変やんか!変かも知れん! 魅惑の変拍子 - odd meters - the word

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今回は、私の生涯をかけての課題になりそうな『変拍子』について取り上げてみます。

変拍子とは

まずそもそものところですが、変拍子(へんびょうし)とは英語で、”odd meter” や “irregular time” とか言うそうで、拍について『いつもと違う数え方』をするということです。

マーチ(行進曲)は2拍子、ワルツは3拍子、そしてスウィングを始めとした世の中の多くの楽曲が4拍子です……よね。

そんな中、5拍子、7拍子、9拍子、11拍子、とか13拍子(≒5以上の奇数の拍子)は『変拍子』と呼ばれています。

5拍子の『テイク・ファイブ』(Take Five)や『スパイ大作戦のテーマ』(Theme from Mission: Impossible)を散歩しながら歌えませんし、頭の中で拍を数えるのが大変ですので、『変拍子が変であること』には十分納得が行きますね。

プログレッシブ・ロック

ロックのジャンルに、1960年代後半に発生した『プログレ』(プログレッシブ・ロック, Progressive Rock)というものがあります。代表的なバンドは、『イエス』(Yes)、『キング・クリムゾン』(King Crimson)、などなど。

プログレッシブ(Progressive)とは斬新的なとか進歩的なという意味で、プログレのバンドでは、変拍子がバシバシと出てきたり、やたら長かったりといった、難解な曲が演奏されています。

余談ですが、私が最初に聴いたプログレのアルバムはイエスの『フラジャイル』(こわれもの、Fragile、1971年発売)です。

1曲目の “Roundabout”(ラウンドアバウト)の拍の掴みづらさ、そして、2曲目の “Cans and Brahms”(カンズ・アンド・ブラームス) での安定感と安心感。

この “Cans and Brahms”はクラシック音楽の作曲家ブラームス(Johannes Brahms)の『交響曲第4番ホ短調第3楽章』を抜粋してキーボードで多重録音したもので、拍子は、変拍子ではなく2拍子です。

普通っていいですね。

プログレッシブ・ビッグバンド

今までまったく意識したことはありませんでしたが、『プログレッシブ・ビッグバンド』と呼ばれたジャンルの音楽があったようです。

下のウェブサイトによると、1950年代から使われていた言葉で、それまでのダンス向けのものではなく、コンサートでの鑑賞目的のビッグバンド音楽を指していたようです。

ロックの場合、 プログレッシブ≒変拍子 ですが、 ビッグバンドの場合、プログレッシブ≠変拍子 ということですね。

ということで、ここから先は『プログレッシブ・ビッグバンド』という言葉を封印します。

ハンク・レヴィ(ハンク・リーバイ)さんとドン・エリスさん

さて、変拍子のビッグバンド曲を語る中で、ハンク・レヴィ(Hank Levy, 1927-2001)さんとドン・エリス(Don Ellis, 1934-1978)さんは、最も重要な方々です。

ハンク・レヴィさんは、アメリカ合衆国メリーランド州出身の作曲家で、スタン・ケントン(Stan Kenton)楽団やドン・エリス(Don Ellis)楽団に楽曲を提供していました。近代クラシック作曲家である、パウル・ヒンデミット(Paul Hindemith、ドイツ)さん、モーリス・ラヴェル(Maurice Ravel、フランス)さん、イーゴリ・ストラヴィンスキー(Igor Stravinsky、ロシア)さん等の影響で変拍子の曲を作曲するようになったようです。

ドン・エリスさんは、アメリカ合衆国カリフォルニア州出身のトランペット奏者そして作編曲家です。プロ奏者のキャリア中、1964年からカリフォルニア大学で民族音楽学を学び、その時から変拍子の曲を作曲したり演奏したりするようになったそうです。

注:2022年4月現在、アムレスのカタログ中では、ハンク・リーバイさんと表記しています。

パット・メセニーさんとライル・メイズさん

パット・メセニー(Pat Metheny)さんとライル・メイズ(Lyle Mays)さんは、パット・メセニー・グループの中核メンバーとして1977年から2010年までの間活動してきました。

同グループの活動初期の楽曲がビッグバンド向けに編曲されてシエラ社(Sierra Music)から出版されており、その中に人気がある変拍子の曲があります。

変拍子のビッグバンド代表曲

変拍子の曲は難易度が高いものが多いのですが、まずは変拍子入門編からご紹介します。

変拍子入門編1 テイク・ファイブ

TAKE FIVE テイク・ファイブ [SHTB-3017]

変拍子入門編2 スパイ大作戦のテーマ

MISSION: IMPOSSIBLE THEME ミッション・インポッシブル(スパイ大作戦)のテーマ [SHTB-5070]

高校生以上は外せない

映画『セッション』のタイトル曲になっています。 ハンク・レヴィさん作曲、さん編曲、オリジナル演奏はドン・エリスさんです。

WHIPLASH ウィプラッシュ(映画『セッション』挿入曲)[SHTB-52568]

大人だったら

コンテンポラリー・ジャズ界のスーパースター、パット・メセニー・グループの曲から、難易度が高いけど大定番の曲です。

FIRST CIRCLE, THE ファースト・サークル [SHTB-1858]

 

他にもたくさん

こちらのリンクに変拍子のビッグバンド譜面をまとめています。ぜひご覧ください。

変拍子のビッグバンド譜面

 

おまけ:変拍子で踊る

先程、「変拍子で散歩はできない」というような事を書きましたが、世界には、伝統芸能として変拍子で踊る人たちがいます。

国としては、トルコ、ギリシャ、ブルガリアあたりから旧ユーゴスラビアの諸国で、バルカン半島と呼ばれる地域に多いようです。

YouTubeで、ワインを飲みながら延々とゲストが代わる代わる歌を歌いまくるみたいな北マケドニア国の動画(たぶんテレビ番組)があったのですが、酔いながらの変拍子の曲での手拍子はなかなか難しい感じでした。

訓練しているから踊れるのでしょうけど、この踊りも音楽もにわかには理解しがたい感じです。(「ステップ・チャートを作れ」とか「楽譜に起こせ」とか言われると私にはかなり厳しいです。)


変更履歴

  • 2022年4月23日:メールニュース配信
  • 2022年5月13日:ブログ投稿

 

The wordビッグバンド譜面

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