実は○○○ソロが似合うイメージ先行型バラード - ハーレム・ノクターン Harlem Nocturne - dive into a song

日本でのイメージ

ハーレム・ノクターン(Harlem Nocturne)は ジャズ・スタンダード曲 と紹介されることもあるようですが、(日本の)ジャズ・ミュージシャンにはあまり好まれていない気がします。

日本の人がハーレム・ノクターンという曲に持つイメージは、サックスムード・テナーサム・テイラー(Sam Taylor)さんむせび泣く官能的エロい といったところでしょうか。

日本でこのようなイメージが形作られた理由は、テイラーさんの音楽が『ムード・テナー』として日本で流行った1970年代のテレビ等でのこの曲の使われ方にあったものと思われます。

令和の時代になって、そんな昭和的な状況は変わったと思いたいのですが、今のテレビも似たような感じなのでしょうか?

なんとなくですが、(日本の)ジャズ・ミュージシャンに好まれていないのは、そんなイメージのためかなと思ったりします。 ジャズ・スタンダード というよりは サックスのスタンダード と呼んだほうが良いかもしれませんね。

ちょこっとアナリーゼ

構成:A-(A)-B-(B)-(A)

Aメロは叙情的で音域が広く、冒頭の4小節で音域的にフルレンジを振ってしまいそうですが、その後の4小節で4度上に転調しさらに上の音域を攻めています。

Bメロはメロディーらしくなく、いかにも繋ぎといった感じです。叙情的なAメロの引き立て役として十分な働きをしています。

作曲者 アール・ヘイゲンさん と 作詞者 ディック・ロジャーズさん

ハーレム・ノクターンの作曲者アール・ヘイゲン(Earle Hagen)さんは、ベニー・グッドマン(Benny Goodman)楽団、トミー・ドーシー(Tommy Dorsey)楽団、そして、レイ・ノーブル(Ray Noble)楽団にトロンボーン奏者として参加していました。

ヘイゲンさんは、1939年レイ・ノーブル楽団在籍時に、デューク・エリントン(Duke Ellington)さんのサウンドをイミテート(模倣)して、ハーレム・ノクターンを作曲したそうです。

作詞者のディック・ロジャーズ(Dick Rogers)さんはヘイゲンさんと同じレイ・ノーブル楽団のメンバーでした。

アメリカでは

サム・テイラーさんはハーレム・ノクターンをカバー演奏した多数のミュージシャンの一人でしかありません。

カバー演奏したアーティストは、ビッグバンド系では、レイ・アンソニー(Ray Anthony)さん、ランディ・ブルックス(Randy Brooks)さん、レス・ブラウン(Les Brown)さん、テッド・ヒース(Ted Heath, イギリス)さん、ハリー・ジェームズ(Harry James)さん、クインシー・ジョーンズ(Quincy Jones)さん、スタン・ケントン(Stan Kenton)さん、グレン・ミラー(Glen Miller)さん、デューク・エリントン(Duke Ellington)さんなど。

他にもサックス・プレイヤーを中心に多くのアーティストがカバー演奏しています。

1980年代のテレビドラマ『マイク・ハマー』(Mickey Spillane’s Mike Hammer)と『ニュー・マイク・ハマー』(The New Mike Hammer)のテーマではバド・シャンク(Bud Shank)さんのアルト・サックスをフィーチャーしていたそうです。

決して多くありませんが、メル・トーメ(Mel Tormé)さんやオーネスティン・アンダーソン(Ernestine Anderson)さんなどボーカリストにもカバーされています。

フィーチャー楽器と演奏キー

数年前に興味があってYouTube動画でハーレム・ノクターンのフィーチャー楽器と演奏キーを調べてみました。

Alto Sax フィーチャー

  • Ray Noble - A minor
  • Duke Ellington - A minor
  • Johnny Otis - A minor
  • Bud Shank from 1984 TV Series “Mickey Spillane’s Mike Hammer” - A minor

Tenor Sax フィーチャー

  • Hidehiko Matsumoto 松本英彦さん - C minor
  • Illinois Jacqet - C minor
  • Georgie Auld - C minor
  • Sam Taylor - C minor
  • Viscounts - E minor

Sax section フィーチャー

  • Les Brown - A minor

Trumpet フィーチャー

  • Ray Anthony - G minor

ビッグバンド譜面のキーは?

アムレスのカタログに登録されているビッグバンド譜面も調べてみました。(リンク先は商品詳細ページ)

譜面のキーは、G minor が4タイトル、A minor が3タイトルでした。 フィーチャー楽器は、アルト・サックスが3タイトル、サックス・セクションが1タイトルでした。テナー・サックス・フィーチャーのビッグバンド譜面は出版されていないようです。

ちなみに オリジナル とされているビッグバンド譜面は、[SHTB-2012] の HARLEM NOCTURNE ですので、A minor がオリジナル・キーということになります。

ここまでを見てくると、ハーレム・ノクターンは、基本的に アルト・サックス・フィーチャーの曲 ということになりますね。

(日本市場向けにテナー・サックス・フィーチャーのビッグバンド譜面を……)

参考資料

曲そのものについて

作曲者アール・ヘイゲンさんについて

音源

Dive into a songビッグバンド譜面フィーチャー

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