月はいつだってミステリアス - フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン Fly Me to the Moon - dive into a song

月はいつだってミステリアス - フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン Fly Me to the Moon - dive into a song

夜空に浮かぶ月でも眺めて気分を落ち着けませんか。

フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン(Fly Me to the Moon)はスタンダード曲として有名ですが、ミュージカルや映画から生まれてきた曲ではありません。

では、誰がどうやって広めたのでしょう?

今回はこの曲がスタンダードとなるまでを探ってみます。

 

In Other Words としてキャバレーにて生まれる

キャバレーピアニストであったバート・ハワード(Bart Howard)さんにより、キャバレーで演奏(歌付き)するために作られた原曲は三拍子のバラード。当初のタイトルは『イン・アザー・ワーズ(In Other Words)』でした。

最初に歌ったのは、フェリシア・サンダースさん(Felicia Sanders)さんです。1954年初演当時の録音は残されていませんが、1959年にオーケストラをバックに歌った録音(DECCA)が残されています。

バラードとしてポピュラーに

1954年4月にケイ・バラードさん(Kaye Ballard)により初録音がリリースされました。 その後、クリス・コナーさん(Chris Conner)、ジョニー・マティスさん(Johnny Mathis)、ナンシー・ウィルソンさん(Nancy Wilson)、イーディ・ゴーメさん(Eydie Gorme)さんらの歌手にカバーされています。 いずれの録音も三拍子のバラードですが、ナンシー・ウィルソンさんの録音はビリー・メイさん(Billy May)により四拍子のバラードに編曲されています。

Fly Me to the Moon への改称

1960年にリリースされたペギー・リーさん(Peggy Lee)さんのアルバム『Pretty Eyes』に収録され、テレビ番組『エド・サリバン・ショー(The Ed Sullivan Show)』で歌われたことにより曲の知名度が増し始めます。

1963年にペギー・リーさんがバート・ハワードさんに曲のタイトル変更を申し入れたことにより、『Fly Me to the Moon』が正式タイトルとなりました。ちなみに『Take Me to the Moon』に改称する案もあったそうです。(歌詞の冒頭を曲のタイトルにするのは鉄則ですね。)

インスト化により米国内で大ブレイク

1962年、ペギー・リーさんの伴奏や編曲を行っていたピアニストのジョー・ハーネルさん(Joe Harnell)によりボサノバのインストゥルメンタルとして編曲、録音、同年11月に『Fly Me to the Moon - Bossa Nova』(KAPP 497)としてシングル・リリース。

翌1963年に発売された、ハーネルさんのアルバム『FLY ME TO THE MOON AND THE BOSSA NOVA POPS』にもタイトルとしてフィーチャーされました。このアルバムはビルボードのチャートを賑わすほど人気を集め、第5回グラミー『Best Performance by an Orchestra - for Dancing』部門にてアワードを受賞しています。

シナトラ = ベイシー = クインシー・ジョーンズ

カウント・ベイシー(Count Basie)楽団が編曲にクインシー・ジョーンズさん(Quincy Jones)をフィーチャーした1963年のアルバム『THIS TIME BY BASIE』に収録。ジョーンズさんは、メロディーを生かした洒落たスウィングに編曲しています。

翌1964年、フランク・シナトラさん(Frank Sinatra)とカウント・ベイシー楽団によるアルバム『It Might As Well Be Swing』に収録。ここでもクインシー・ジョーンズさんはアレンジャーとしてフィーチャーされています。インストゥルメンタル版に比べてパンチが効いたアレンジで、曲のエンディングもしっかりと洒落ながら終わっています。

アポロとともに月へ、電波に乗って世界へ

フランク・シナトラさんの録音は、NASAのアポロ10号と11号の宇宙飛行士達により宇宙船内で再生されました。また1969年の月面着陸のシーンが全世界のテレビで放映された際はシナトラさんの録音が使われたそうです。

それ以降、月面着陸40周年記念セレモニーを始めとしNASAのキャンペーン・ソングとしてたびたび使われています。

新世紀エヴァンゲリヲン

時は流れて 1995年、日本国内のテレビアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』のエンディングテーマとして使用されました。以降、同アニメ関連で多くのアーティストにカバーされています。

AND NOW

2021年7月30日現在 JASRACさんの情報によると、なぜか 録音禁止曲 となっています。最後まで謎の多い曲です。

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参考資料

リンク先はすべて外部リンクです。


文責:アムレス 店長 山崎 代三

(この記事は過去発行のメールニュースの記事に修正を加えたものです。)

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