来年100周年の音楽出版社 - アルフレッド社 - Alfred Publishing - publisher who's who

来年100周年の音楽出版社 - アルフレッド社 - Alfred Publishing

Publisher who’s who

今回は、来年 2022年に 100周年を迎える アルフレッド社(Alfred Publishing - Alfred Music) をご紹介します。

アルフレッド社の年表

  • 現在のアルフレッド社のリーダー的な立場にある ロン・マヌス(Ron Manus)さんの祖父サム・マヌス(Sam Manus)さんが 1922年にニューヨークで音楽出版社 マヌス・ミュージッック社(Manus Music)を設立。
  • 1930年、アルフレッド&カンパニー社(Alfred & Company)を買収し、社名をアルフレッド・ミュージック(Alfred Music)に変更。
  • サムさんの息子モーティ(Morty Manus)さんとモーティさんの妻アイリス(Iris Manus)さんにより、1950年代から楽譜出版とともに音楽教育に力を注ぐ活動を行う。
  • 1975年、事業拡大とともに本社をロサンゼルスに移転、そして配送センターをニューヨーク州北部に移転。その後、オーストラリア、ドイツ、シンガポール、英国にオフィスを設立。
  • 1988年、モーティさんとアイリスさんの息子ロン(Ron Manus)さんがオーナー兼CEOとなる。
  • 2005年、ジャズやポピュラーのタイトルを多数所有していた ワーナー・ブラザース・パブリケーションズ社(Warner Bros. Publications) を買収し吸収合併。
  • 2016年、SmartMusic, MakeMusic などのブランドを保持する、ピークスウェア・ホールディングス社(Peaksware Holdings, LLC)の傘下会社となり、現在に至る。

アルフレッド社の99年の年表をかいつまんで書いてみました。5年前まで同族経営が続いてきたこと、早くから音楽教育の重要性に気づいていたことなどが分かりますね。

ワーナー・ブラザース・パブリケーションズ社 (Warner Bros. Publications)

アルフレッド社の品揃えに大きな影響を与えたワーナ・ブラザーズ・パブリケーションズについて、簡単にご紹介します。

老舗映画会社 ワーナー・ブラザース社(Warner Bros.)の音楽出版子会社。楽譜印刷だけでなく版権管理も行う。

レコード会社 ワーナー・ブラザース・レコード(Warner Bros. Records)もグループ企業にあったり、EMIグループの版権も委託されたため、映画音楽そしてポピュラー音楽のタイトルを多数保有。

2005年、ワーナー・グループの事業再編により、アルフレッド社に買収(吸収合併)される。

アルフレッド社の特徴

楽譜ジャンルとしては、ジャズアンサンブル(ビッグバンド、他)、吹奏楽、弦楽合奏、合唱、ピアノ、ギターなどアメリカの音楽教育分野を網羅しています。日本で出版されているピアノ教本もあります。でも例えば、ジャズのアーティスト・トランスクリプションのような分野にはあまり力が入っていません。

2005年のワーナ・ブラザーズ・パブリケーションズ社買収まではビッグバンドやジャズの楽譜タイトルが少なかったため、アムレスとアルフレッド社とはまったく縁がありませんでした。その一方で、アムレスは創業直後の1996年以来、ワーナ・ブラザーズ・パブリケーションズ社と取引があったため、現在はその流れでアルフレッド社とは非常に活発な取引をしています。

品揃え的には、ワーナ・ブラザーズ・パブリケーションズ時代に、ゴードン・グットウィン(Gordon Goodwin)さん と優先的出版契約(詳細内容不明)を結んでおり、それが現在の同社の強みの一つとなっています。

同様にワーナ・ブラザーズ・パブリケーションズ時代に出版契約を行った、ジャズ・アット・ザ・リンカーン・センター(Jazz at the Lincoln Center)のエッセンシャリー・エリントン・シリーズ(Essentially Ellington series) が契約切れにより新規出版されなくなったのは、私個人的には同社にとって地味に痛い気がしています。

そういえば、商品自体のトラブルはほとんどありません。ここ数年では2年前に欠譜が1回あったのみです。

ベルウィン Belwin とは

Belwin あるいは Belwin-Mills と印刷されている楽譜をご存知の方もいらっしゃると思います。

そもそも、この ベルウィン(Belwin) とは何なのでしょう?

この名前は、S・M・バーグ(S.M.Berg)さん(作曲家、事業家), ソル・リーヴァイ(Sol Levy)さん(作曲家), マックス・ウィンクラー(Max Winkler)さん(事業家)の3名の名字(Berg - Levy - Winkler)から来たものだそうです。

ウィンクラーさんの楽譜出版社として始まったベルウィン社は、後にアーヴァン・ミルズ(Irving Mills)さんの出版社であるミルズ社(Mills)と合併し、ベルウィン・ミルズ社(Belwin-Mills)となります。

そしてその後、ベルウィン・ミルズ社の出版権をワーナ・ブラザーズ・パブリケーションズが獲得し……。

ということで、現在アルフレッド社の保有するブランドの一つが、Belwin です。アルフレッド社は、ビッグバンド譜面に Belwin Jazz 、ポピュラー系の吹奏楽譜面に Belwin Band のブランド名(事業名)をつけて出版しています。

アルフレッド社の主なアーティスト

他にも多数いらっしゃいます。

アルフレッド社の商品一覧(35000タイトル超)はこちら - アルフレッド社


99年もの間に多くのブランドを吸収してきた出版社だけに、まとめるのも一苦労しました。(固有名詞が出まくり&古い話はよくわからない)

買収や契約や権利についての記述は不確かな部分もあります。もし間違いや不適切な記述がありましたら遠慮なくご指摘ください。

アルフレッド社の商品からジャズ勉強者向けに選ぶとしたら、50年くらい前に出版された(古くてすみません) “Studio publications/recordings” ブランドの楽譜が良いと思います。特に『パターンズ・フォー・ジャズ(Patterns for Jazz)』は私の個人的なオススメです。

さて、来年100周年を迎えるアルフレッド社にどんなことがあるのでしょう。 今からとても楽しみですね!

参考資料

アルフレッド社公式ページ

Wikipedia

ブランドについて

ピークスウェア社の傘下となることについて

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