新世紀とともに彗星の如く現れた出版社パワーハウス・オーケストレーションズ Powerhouse Orchestrations - Publisher who's who

今回は、イギリスのビッグバンド譜面出版社、パワーハウス・オーケストレーションズ(Powerhouse Orchestrations)社をご紹介いたします。

まずは同社の会社案内からどうぞ!(原文は最後の章に記載しています。)

パワー・ハウス・オーケストレーションズ:カンパニー・プロファイル(初出:2000年10月)

パワー・ハウス・オーケストレーションズは、学生とリハーサル・バンド向けにビッグ・バンド音楽を出版するために、ジェリー・シェパード(Jerry Sheppard)により設立されました。 (会社は1995年の7月に設立されました。)

ジェリーは、元来ピアノとダブル・ベースのクラシック音楽家として勉強をしてきましたが、ジャズやセッション・ミュージシャン(テレビやレコーディング)に転向し、また教育の世界に深くかかわるようになりました。

彼は20年以上もの間ビッグ・バンド譜面を書きつづけています。 これは彼の学生バンドとの作業が発展したもので、彼は中級レベルの音楽には不足しているものがあることを見つけました。 それは、全バンドメンバーがアンサンブル・ライティングについて興味を持っていること、そして個々のメンバーが即興(アドリブ)の技術を得ることを熱望していることでした。

ソリストのための十分なスペースと強固なアンサンブル演奏がエキサイティングに結びついたビッグ・バンド・ジャズとは、音楽の表現方法としてはとてもユニークな型である、と彼は考えました。

学生向けのジャズ・アレンジは、しばしば全くガイド無しで長いコード進行が続くことをジェリーは見つけました。 そこで彼は、学生が落ちてしまうことを防ぐための『安全ネット』として、そして彼らが刺激されてアイデアを出せるように、コード表記とともにとても演奏しやすいソロの例を書きこむようにしました。 曲のキー(調)は個々の楽器が同等に演奏しやすいように、注意して選ばれています。

フィル・コリンズ・ビッグ・バンドについて

昨年(1999年)に始まった、フィル・コリンズ・ビッグ・バンドのライブラリーの出版については、ビッグ・バンド音楽についての彼ら専門家の持つ知識のために困難を伴いました。 それは、ヒット&ラン・ミュージック(Hit & Run Music Ltd)が当社に総販売元となることを持ちかけてきた時のことです。 偉大でモダンな譜面は、一部の学生やリハーサル・バンドのみが演奏できる、上級レベルに属するものです。 アルト・サックス・フィーチャーの“Against All Odds”は別です。 (ただし彼らはソロ部分を譜面に書き下ろしていませんでした。)

彗星の出現:アムレスとの取引開始

アムレスではパワーハウス・オーケストレーションズ社とは2000年8月から取引を開始しました。取引開始した理由はフィル・コリンズ・ビッグバンド(Phil Collins Big Band)の譜面です。

アムレスで商品番号が一番若い(=一番最初に登録した)同社のタイトルは、フィル・コリンズ・ビッグバンドのススーディオ(Sussudio)です! ビッグバンド 譜面セット SUSSUDIO ススーディオ [SHTB-21286]

当時のパワーハウス・オーケストレーションズ社の譜面は30タイトル弱で、『フィル・コリンズ・ビッグバンド』、そして『ステートサイド(Stateside)』の2シリーズを出版していました。

勢いを増す彗星:シリーズ、タイトルの充実

2000年代は、フィル・コリンズ・ビッグバンドの譜面のヒットを受けて、ロビー・ウィリアムズ(Robbie Williams)さん、ナタリー・コール(Natalie Cole)さん、ポール・アンカ(Paul Anka)さん、マイケル・ブーブレ(Michael Bublé)さんらのアップ・トゥ・デートな譜面(主にボーカルビッグバンド向け)をシリーズ化して次々に出版していきます。

通り過ぎた彗星:販売事業委託と新タイトル出版停止

2018年9月から、スタジオ・ミュージック社(Studio Music)に独占販売権を委託し、同年10月以降、新タイトルを出版しなくなりました。

また同社は、“http://www.bigbandsheetmusic.com/” というウェブサイトで他の出版社も含めた楽譜の通信販売を行ってきましたが、この通信販売事業も停止しています。

彗星の尾を見つめて:店長の山崎が感じていること

パワーハウス・オーケストレーションズ社は出版曲の傾向が米国の出版社とは異なることが非常に興味深かったです。これは実務を行っていたマネージャーさんがクラブDJだったことも関係していそうです。

2010年代後半、同社がスタジオ・ミュージック社に販売委託する直前は、出版タイトルのジャンルにふらつきが目立ち、正直なところ「少し売りづらいな」と感じていました。

ブレグジット(Brexit)が取り沙汰されていた時期でしたので、景気悪化による事業不振もあったのかなと思っています。出版タイトルをマイケル・ブーブレさんに絞りきっていれば、もしかしたらもう少し長く続いていたかも知れません……。

アムレスとほぼ同じ時期に事業を開始したパワーハウス・オーケストレーションズ社とは「成長をともにしている」という意識がありましたので、新タイトル出版停止は残念でしかたありません。

とは言え、過去にパワーハウス・オーケストレーションズ社が出版したタイトルは問題なく入荷してきています。

興味のあるカテゴリーがありましたら、ぜひ御覧ください。

商品情報

ビッグバンド譜面

ボーカルビッグバンド譜面

 

(以下は冒頭の会社案内の原文です)

Powerhouse Orchestrations: Company profile at 2000/10/5

Founded by Jerry Sheppard to publish big band music primarily aimed at student and rehearsal bands. Our company was established in July 1995.

Jerry originally trained as a classical musician on piano and double bass but moved over to jazz and has been a session musician in TV and recording studio work, as well as being involved in education.

He has been writing big band charts for over 20 years. This has developed out of his work with student bands as he found that there was a shortage of intermediate level music which was both interesting for all band members in terms of ensemble writing, but which also encouraged individuals to develop their improvisation techniques.

He considers it is the marriage of exciting tight ensemble playing with ample space for soloists which makes big band jazz unique as a form of musical expression.

Jerry found that jazz arrangements aimed at students often just gave them long chord sequences with no guidance. He therefore included written out very playable suggested solos, together with the chords, to give students encouragement to add their own ideas whilst providing a “Safety net” to fall back on. The keys for the music as well as the ranges for the individual instruments are always carefully chosen.

PHIL COLLINS BIG BAND

The involvement of Power House with the charts from the library of the Phil Collins Big Band started last year when hit & run music ltd appointed the company as sole distributors because of their specialist knowledge of big band music. These great modern arrangements are at a more advanced level suited to regional student and also rehearsal bands. Apart from the alto sax feature “Against All Odds” these do not have written out solos.

Publisher who's whoビッグバンド譜面

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