最初は高校生バンド向けから - ケンドール社 Kendor Music - Publisher who’s who

昔むかし、その昔、アムレスの店長が10代半ば、高専の吹奏楽部でサックスを吹いていた頃、初めて出会ったケンドール社(Kendor Music)の楽譜は、ドビュッシー(Claude Debussey)さん作曲、サミー・ネスティコ(Sammy Nestico)さん編曲の 『夢』(Reverie)でした。

どんな楽譜だったか、どんな演奏だったかまったく覚えていないのですが、「これが Jazz?」と少し戸惑ったことを思い出します。

たぶん今の高校生ビッグバンダーのみなさまもどこかでケンドール社の楽譜に出会ったことがあるはずです。

始まりは?

1953年12月、レス・チャペル(Les Chappell)さん、アート・デドリック(Art Dedrick)さん、ボブ・ハドソン(Bob Hudson)さんの3名の音楽教師により設立。出版社名の Kendor は、3名が教えていたニューヨーク州の地域名であるケンモア(Kenmore)、デレヴァン(Delevan)、イースト・オーロラ(East Aurora)からの造語です。

設立当時は他の出版社から多くのステージバンド(Stage band, 今のビッグバンド、ジャズバンド)向けにストック・アレンジ(Stock chart, Stock arrangement = 販売譜)が出版されていましたが、それらは高校生バンド向けには難しい内容でした。

そこで、ヴォーン・モンロー(Vaughn Monroe)さんの楽団にトロンボーン奏者そしてアレンジャーとして在籍していたデドリックさんを中心とした作者たちが、高校生バンド向けに丁寧な編集を施した楽譜を出版し続けることでケンドール社は成長してきました。

共鳴する歴代プロフェッショナルアレンジャー

ABOUT US - HISTORY OF KENDOR MUSIC のページからピックアップしてみます。(敬称略)

他にもたくさんいらっしゃいます。

この中で特徴的なのは冒頭の3名です。

  • サド・ジョーンズさんは、カウント・ベイシー楽団退団後、サド・ジョーンズ=メル・ルイス楽団(Thad Jones - Mel Lewis Orchestra)を立ち上げ、そこで多くの自己楽曲を演奏していました。
  • 穐吉敏子さんは、単身渡米後、秋吉敏子=ルー・タバキン楽団(Toshiko Akiyoshi - Lew Tabackin Big Band)を立ち上げ、世界的に高い評価を得てきました。
  • サミー・ネスティコさんは、Basie Straight-Aheadシリーズを始め、カウント・ベイシー楽団に多くの楽曲を提供してきました。

ここで店長山崎の私見です。 なぜケンドール社が世界的なビッグネームアーティストの楽譜を出版できたのかというと、同社が持っていた『音楽教育に対する情熱』にアーティストが共鳴したからではないかと思います。この『ビッグネームアーティストが後世代の育成を助力してきた』というのは非常に重要なことだと思っています。

ジャズを中心としながらジャンルの拡張

ビッグバンド譜面出版で始まったケンドール社は、その後、吹奏楽やジャズ・コンボなどの譜面も出版しましたが、現在はビッグバンド譜面と弦楽合奏譜面、アンサンブル譜面、そして独奏楽譜が品揃えの中心となっています。

またジャズ系出版社である、ダグ・ビーチ・ミュージック社(Doug Beach Music)とサミー・ネスティコ・ミュージック社(Sammy Nestico Music)の独占販売権を持っています。アムレスでは両社の商品をケンドール社の商品としてカタログに表示しています。

ケンドール社商品一覧

団体向け楽譜

個別楽器向け楽譜(アンサンブル譜面と独奏楽譜)

すべての楽譜

参考資料

Publisher who's whoビッグバンド譜面弦楽合奏楽譜

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